不幸の先回り

真面目な人に限って、心配事は多い。あれをやろう、これをやらねばと考えるのだが、さらに、上手くいかないかもしれない、失敗するかもしれないと勝手に考えてしまう。損な性格と言えそうだが、その負担は相当なもの。
　
上手く物事を進めるために、いろんな状況を考えることはいいことだが、その際、頭に浮かびやすいのは悪いことばかり。子供の頃から、失敗すれば頭ごなしに怒られ、気まずい思いをした、そんな経験が大人になっても、心のどこかに残っている。
　
『失敗＝怖い』となっているのだから、悪いイメージばかりが浮かぶのは当たり前。だが、実際に何も起こっていないのに失敗した不安な気分になるのは、なんとも不幸な話。それなら、上手くいくと思った方がよっぽどいい。
　
そんなことを言うと、そんな風に考えられれば苦労しないと言われそうだが、同じように失敗するかもと身構えていたことで、実際はそうはならなかったことが今までどれくらいあっただろうか。失敗すると思っても、実際、そうそう失敗ばかりするのも難しいもの。
　
確かなものがない先の事に対して、悪い事ばかり頭に浮かべば不安になるが、過去の成功を数えてみれば、今回もやれるはずと自信が持てるはずだ。そんなことを繰り返すうち、悪いことはそうそう起こらないと心配することもなくなる。

失敗する状況を思い浮かべるのは、手間がかかる。それだけに、大丈夫そうだと思い始めれば、そんな面倒なことはしなくなる。

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